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スタートレック・ディスカバリー第6話「忘却の川」に見るサレクの苦悩とスポックの決断


「DSC6話 忘却の川」(ネタバレあり)
冒頭からサレクのバルカンサリュート🖖が拝める時点で神回です。

 

『ある任務のため宇宙船に乗っていたサレクパッパ。しかしバルカン過激派によって宇宙船を爆破され重傷を負ってしまう。
サレクパッパを救おうと彼とカトラ(魂)を分かつマイケル・バーナム(主人公)が奮闘する』

 

サレクパッパは宇宙船でワープ走行中、同乗者のバルカン過激派に宇宙船を爆破させられて重傷を負います。
バルカン人の中には「地球人を劣った種族」と見なし、地球人主体で構成された惑星連邦(宇宙艦隊)に協力することに否定的な者たちがいました。
そんな中で、地球人の妻と結婚し、地球人の子供を養子にし、さらに地球人とバルカン人のハーフの子供を持つ地球人大好きサレクは、バルカン過激派に命を狙われてもおかしくないのです。(バーナムも幼い頃に殺されかけた)

バーナムがサレクパッパを救うために、カトラに触れると出てくるのは「バーナムのバルカン遠征隊合格発表の日」の場面。
その場面は、バーナムにとっても父親代わりであるサレクパッパを失望させたこともあるため辛いものでした。と同時にサレクパッパにとっても辛い場面なのでした。

バルカン遠征隊への入隊基準は超えており、バルカン人にも負けない優秀なバーナム。入隊確実と思われていた…。しかし、結果は不合格。自分の実力不足だと思い、サレクパッパを失望させたと思い込むバーナム。

…実はこの裏ではサレクパッパが苦渋の決断を迫られていました。
今までバルカン人以外が入隊した実績のない遠征隊。地球人であるバーナムは例えバルカン人にも劣らない論理を身につけても入隊は叶わなかったのです。
しかし!サレクパッパの地位と実績を考慮して「バルカン人未満の者を“1人だけ”受け入れる」という条件がだされました。

 

サレクパッパにはもう1人バルカン人未満の子供がいました。そう「スポック」です。
一応バルカン人の血を引いているとはいえ、残り半分は地球人。純バルカン人からはバルカン人未満として扱われました(辛い)。
スポックは、まだバルカン科学アカデミーにも入学こそしていないものの、いずれは入学し卒業後には遠征隊に入隊する…。

遠征隊入隊にバーナムを選べば未来永劫スポックは入隊出来ず、スポックを選べば現在バーナムが入隊出来ません。
サレクパッパも「私には選べない」と言っていましたが…最終的には「スポック」を選びます。
このことでバーナムは、自分の実力不足でサレクパッパを失望させたのではないことを知ります。

反対にサレクパッパがバーナムに失望させたと感じていたのです。
遠征隊入隊にバーナムではなくスポックを選んだサレクパッパ。
しかし、スポックは最終的にバルカン科学アカデミーを蹴って宇宙艦隊へ入隊することを選びました。


これによりサレクパッパの決断は水の泡となりました。
「あの時スポックではなく、バーナムを選んでいたら…」サレクパッパはずっと後悔していたに違いありません。

 

スポックがバルカン科学アカデミー入学を蹴るシーンはスタートレック(2009)で観ることができます。


このシーンを観た時は「スポック…漢や!」と惚れ惚れしましたが、DSC「忘却の川」を観てからは、サレクパッパが可哀想で胸が締め付けられます。

スポックはサレクパッパのこの決断を知らなかったから仕方がないとはいえ、とても辛いシーンです。

 

宇宙艦隊に入ってからはサレクパッパとも疎遠になるスポック
それでも宇宙大作戦TOS)では、病気のサレクパッパを救うためにスポックが血を提供したり、サレクパッパがスポックの遺体を返して欲しいとカークに頼んだりと、ギクシャクしながらもお互いを大切に想っていることは確かです。

サレクパッパとスポックとバーナムには是非とも幸せになってほしい。